訪問ありがとうございます。はぎおと申します。
社会人になると読解力や作文力は必須スキルとなり、国語力がためされる場面が多くなります。そのため、大人になってから自分の国語力に自信を失ってしまった方も多いでしょう。
国語力を身につけたいけど勉強はキライ・・・。そもそも参考書を読むのがイヤになる。
そんな方には、小学校の国語の教科書にあった名作を読み返す事をオススメします。
小学校の国語の教科書にあった名作は国語力の基礎を身につけるのにピッタリで、大人になってから読み返すと新たな発見や学びが得られます。
小学校の教科書にあった名作と言えば・・・・
・ごんぎつね(作者:新美南吉)
・大造じいさんとガン(作者:椋鳩十)
・グリム童話(作者:グリム兄弟)
これらの作品を読み返す事は、国語の勉強をやり直すきっかけとして大いに役立つと思います。
私自身、これらの本を読み返しました・・・。そして作者ゆかりの地まで行き、その思想を学んできました。
私は机で勉強するよりも、現地へ行って直接学ぶタイプです。
この記事では、国語のやり直しを目的として、「ごんぎつね」「大造じいさんとガン」「グリム童話」から学べることを紹介していきます。
この記事の著者(はぎお)
日本の全ての市(792市)、海外20ヵ国を旅して世界中の文化を学んできました。ブログ内の写真は旅先で撮影したモノが多いです。
国立大学院卒、東京都庁合格、フィリピン留学、小中高校生の塾講師を経験するなど、勉強が好きです。
ごんぎつね(作者:新美南吉)
ごんぎつねのあらすじ
まずはごんぎつねのあらすじを4コマで紹介します。全文を読みたい方はコチラ:ごんぎつね
ごんぎつねから学ぶ事
文部科学省教科調査官が監修した小学生への教育例を見ると、ごんぎつねから学ぶべきことは「気持ちの変化を読みとること」がメインとなっています。参考:小学校教員のための教育情報メディア「みんなの教育技術」
確かにごんぎつねを読み返すと、ゴンが相手の立場に立って相手の気持ちを考えている描写が多いです。
特に、ゴンはヒョウジュウのうなぎを逃がしてしまったことで後悔しますが、これはゴンが「きっと相手はこのような考えがあったのでは?」という想像をふくらませていった結果です。
登場人物の気持ちの変化をうまく描いているのが、ごんぎつねという作品です。
子供のころに読んだ時は「なんか悲しいお話だなー」と思っただけですが、大人になって読み返すと、気持ちの変化やすれ違いがハッキリと読みとれます。
ごんぎつねのゆかりの地で学ぶ
ごんぎつねという作品をさらに深堀するため、作者である新美南吉さんの故郷へ行ってきました。
新美南吉さんの故郷は愛知県半田市で、記念館が建っています。
新美南吉という人
ごんぎつねを生み出した新美南吉さん。一言で表すと、「孤独を知る学校の先生」です。
新美さんは幼いころ母親を亡くし、親せきの家に養子に出されるなど寂しい時を過ごしました。
大人になった新美さんは小学校の先生となり、自分で作った童話をクラスの子供に聞かせていたそうです。
子供向けで少し寂しさが感じられるごんぎつね。この作品は新美南吉さんの人生経験が強く表れています。
やはり、ストーリィには、悲哀がなくてはならない。悲哀は愛に変る。(中略)俺は、悲哀、即ち愛を含めるストーリィをかこう。
新美南吉(昭4年4月6日の日記)より
哀と愛。2つのアイは表裏一体であるという考え方もごんぎつねに表れています。
新美さんは病気に侵され29歳の若さでこの世を去りますが、最後の最後まで童話を書き続けました。
ごんぎつねが80年以上子供たちに愛され続けている事を、新美さんも天国で嬉しく思っているでしょう。
新美南吉記念館周辺
新美南吉記念館周辺には、ごんぎつねにゆかりのある場所や、学びにつながる施設があります。ぜひ合わせて訪れてみて下さい!
①ごんぎつねの湯
新美南吉記念館から歩いて行ける距離にある温泉。木のぬくもりが感じられ、ごんぎつねにちなんだ食事メニューやお土産があります。
②新美南吉生家
新美南吉さんが生まれ育った家が残っています。ボランティアで案内説明をしてくれる方もいるため、もっと新美南吉さんを知りたい方はぜひ。
③ミツカンミュージアム
新美南吉さんが生まれ育った半田はミツカンが古くから酢を製造していた土地。酢について学べる立派な施設があります。
大造じいさんとガン(作者:椋鳩十)
大造じいさんとガンのあらすじ
まずは大造じいさんとガンのあらすじを4コマで紹介します。
大造じいさんとガンから学ぶ事
文部科学省教科調査官が監修した小学生への教育例を見ると、大造じいさんとガンから学ぶべきことは「物事を文字で効果的に表現すること」がメインとなっています。参考:小学校教員のための教育情報メディア「みんなの教育技術」
例えば大造じいさんがガンを待ちかまえるシーン。
そして、冷え冷えするじゅうしんをぎゅっとにぎりしめました。
参考:大造じいさんとガン
この一文があるだけで物語の緊張感が、すっと頭に入ってきます。
このように大造じいさんとガンでは、シーンごとの状況を鮮明にイメージすることができ、物語の世界にどっぷりつかることができます。
子供のころに読んだ時はむずかしく感じた物語ですが、改めて読むと状況描写の躍動感にびっくりします。
特に、ガンのリーダーがハヤブサと戦うシーンは本当にカッコいいです。
ガンの群れを目がけて、白い雲の周りから、何か一直線に落ちてきました。
参考:大造じいさんとガン
この突然登場するハヤブサの強敵感。
また、ハヤブサと戦ったガンのリーダーに敬意をはらう大造じいさんの人柄も魅力的。大人になってから読むと、本当に印象が変わる作品です。
大造じいさんとガンのゆかりの地
大造じいさんとガンという作品をさらに深堀するため、作者である椋鳩十さんゆかりの地へ行ってきました。
椋鳩十さんは大学卒業後、鹿児島で一生をすごした作家です。姶良市に記念館が建っています。
椋鳩十という人
大造じいさんとガンを生み出した椋鳩十さんは一言で表すと「自然を愛する動物文学者」。
大造じいさんとガン以外にも「片耳の大シカ」「マヤの一生」「藤吉じいとイノシシ」など、動物を扱った作品を多く生み出しています。
椋鳩十さんは子供のころ父親と一緒に山を歩き、自然にたくさん触れる日々をすごしたそう。生き生きとした動物の描写は自然に多く触れた経験からきているのでしょう。
やはり子供のころの経験や父親の影響は大きいです。
仕事はごんぎつねの新美南吉さんと同じく学校の先生をしていました。
椋鳩十さんが小学校の先生だった時、ふんどし一丁で授業をしてクビとなるエピソードにはびっくします(笑)
また、椋鳩十さんの人柄を紹介するうえで外せないのが「モモちゃんとあかね」という本。
この本は椋鳩十さんが貧乏作家時代に長女あかねさんへ贈った本です。あかねさんが結婚する際、お金が無いので長女あかねさんをモデルとした本を書いて贈るというイキな結婚祝い。
贈り物は値段じゃ無いですね。娘のために、娘を主人公とした本を書いて贈るなんてステキすぎます・・・!
ちなみに「モモちゃんとあかね」という本、中身も最高です。私、この本を読んで読書コーナーでマジ泣きしました。
椋鳩十記念館周辺
椋鳩十記念館の近くには郷土の食文化が根付いた店があります。椋鳩十記念館で文学について学んだ後は、この地域の食文化を学んでみてはいかがでしょうか!
①加治木饅頭(新道屋)
江戸時代から作られている郷土菓子加治木饅頭。蒸し饅頭で、あんマンに似た味です。できたてアツアツのまんじゅうは生地がふわっとしていて、甘さ控えめのこしあんと相性抜群です。
②豚のアゴ肉(肉の田中屋)
この地域では豚のアゴ肉を食べる文化があり、アゴ肉を手軽に購入できるのが田中屋。生のアゴ肉がニンニクの効いたタレに漬けこまれていて、家で焼いて食べます。食感は鳥の砂肝に似ていてメチャクチャ美味しいです。
グリム童話(作者:グリム兄弟)
グリム童話(ブレーメンの音楽隊)のあらすじ
グリム童話はたくさんのお話があります。その中でも国語の教科書に採用されることが多いブレーメンの音楽隊を4コマで紹介します。
グリム童話から学ぶ事
グリム童話は小学校低学年の国語の教科書に登場することが多いです。グリム童話を教育に利用することで、論理的な思考が育つという効果があります。
(参考:全国大学国語教育学会「グリム童話で論理的な思考力を育てる」)
論理的な思考が育つ理由として、グリム童話の話は筋が明確簡潔で、論理的であるという点にあります。
大造じいさんとガンのように細かい状況描写や心理描写が少なく、善と悪がハッキリ分かれている事が多いので、子供でも物語の内容が理解しやすい。
ブレーメンの音楽隊にでてくる4匹の動物は、ごちそうが欲しいからドロボウを家から追い出す。Aという理由があるからBをするという論理性があり、そこに細かい心理描写はありません。
大人になってからグリム童話を読むと、単純明快に行動するキャラクターに清々しさを覚えます。
大人になると意味や理由を深読みすることが多くなりますが、グリム童話はシンプルな考え方を思い出させてくれます。
グリム童話ゆかりの地
グリム童話ゆかりの地は、作者グリム兄弟が育ったドイツです。本気でグリム童話を深堀したい方はドイツのシュタイナウという町を訪れると良いでしょう。
ただ、ドイツへ行くのは難しい・・・という方が大半だと思います。
実は日本にもグリム童話ゆかりの地があります!それは栃木県にある「グリムの館」。
実際に行ってきました。
栃木県下野市がグリム童話ゆかりの地になっている理由は、グリム兄弟が生まれた村と姉妹都市の盟約を結んでいるから。シュタインブリュッケン村と交流があります。
※詳しくはコチラ:なぜ石橋町(下野市)が「グリム」なの?
まずこの施設で驚いたのは、グリム童話はグリム兄弟が創作したものでは無いということ。
グリム童話はドイツの各地域に根付く昔話を編集したモノ・・・つまり正確に言うとグリム兄弟は作者ではなく編集者。
当時のドイツでは自国愛が流行したので、自国の伝承や伝説に人気がでたそうです。
グリム童話なんて大人が読むものじゃない!と考えるのはもったいないです。
昔のドイツの伝承や伝説を学ぶと思えば、大人がグリム童話を読む価値は十分あります。
グリムの館2階にはグリム童話の本がたくさんあるので好きなだけ読む事ができます。
グリムの館周辺
グリムの館周辺にはグリムに関係する施設がたくさんあります。グリムの館へ行くついでに寄ってみてはいかがでしょうか!
①グリムの森
グリムの館に隣接する公園。七人の小人や黄金のガチョウなど、グリム童話をモチーフに設計されています。散歩するだけでも楽しいです。
②グリムからくり時計
石橋駅前にあるからくり時計。午前8時と正午、午後5時に音楽に合わせてからくりが動き出します。
③姿川アメニティパーク
グリム童話の世界観をイメージした公園。風車や銅像など、グリム童話の世界観を感じられます。
④おもちゃのまちバンダイミュージアム
グリムとは関係ありませんが、グリムの館の近くにバンダイミュージアムがあります。おもちゃの歴史を学ぶ事ができます。
まとめ
ごんぎつね
作者の新美南吉は孤独を知る学校の先生。哀と愛をからめた作品が多く、人の気持ちの変化を読み取る力を伸ばすことができます。
大造じいさんとガン
作者の椋鳩十さんは自然を愛する動物文学者。言葉での情景描写が素晴らしく、物事を文章で効果的に表現する方法を学ぶ事ができます。
グリム童話
グリム童話はグリム兄弟が創作したものでは無く、地方の伝説を編集したもの。単純明快な論理的思考を学ぶ事ができ、ドイツの伝承や伝説を知る事ができます。
小学校の教科書にあった名作から多くの事を学べます。国語の勉強のやり直しとしてオススメです!
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